京都府の世界遺産・特別史跡・特別名勝・国宝建造物・文化的景観・伝統的建造物群保存地区リスト
世界遺産について
・世界遺産は、193ヵ国が参加する国際機関ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産条約に基づいて、人類の遺産(不動産のみ)を未来に引き継ごうとする活動。人間の手による「文化遺産」、人間の関っていない「自然遺産」、両方を兼ね備えた「複合遺産」がある。一定の基準で審査されて世界遺産に登録される。
・日本の世界遺産は23件。文化遺産は、日光の社寺、富士山-信仰の対象と芸術の源泉など19件、自然遺産は、屋久島、知床など4件、複合遺産の登録はない。
・京都府内では、古都京都の文化財(京都市・宇治市・大津市)が、1994年12月に登録された。国宝(建造物)、特別名勝(庭園)を有し、遺産の敷地全域が史跡等に指定されているなど、遺産そのものの保護の状況に優れている17件の名所旧跡で構成されている(表を参照)。選定の経緯からみてこの17箇所の社寺城が京都を代表する観光名所と言える。
文化財について
・文化財は、有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観、伝統的建造物群から成る(文化財保護法)。京都府は奈良県と並んで、日本の中で最も文化財の多い地域である。以下は観光の手助けになる建造物関係の文化財の種類についての解説であり、表は京都府内の建造物関係の文化財リストである。
京都御所桂離宮修学院離宮などは、国が保有する皇室用財産で、宮内庁が管理しており、慣例的に文化財保護法の適用対象外になっている。国宝、史跡、特別名勝などに指定されておらず、したがって世界遺産にも登録されていない。
有形文化財
・有形文化財は、大きく建造物と美術工芸品(絵画・彫刻・工芸品・書跡・典籍・古文書・考古資料・歴史資料等)に分かれる。文化庁は文化審議会の答申に基づいて、有形文化財のうち重要なものを「重要文化財」に指定し、さらに世界文化の見地から特に価値の高いものを「国宝」に指定している。
・重要文化財(建造物)は、全国で2509件で、うち307件が京都府にある。重要文化財(建造物)のうち国宝(建造物)に指定されているものは全国で227件で、そのうち51件が京都府内に所在している。
・重要文化財(美術工芸品)は、全国で10717件で、うち2235件が京都府にある。重要文化財(美術工芸品)のうち国宝(美術工芸品)に指定されているものは全国で893件で、そのうち228件が京都府内にある。
記念物
・記念物は、史跡、名勝、天然記念物の総称。
・史跡は、貝塚・古墳・都城跡・城跡・旧宅・社寺跡・治水施設・交通施設等の遺跡で、我が国にとって歴史上または学術上価値の高いもの。すべて人工のものである。特に重要なものについては特別史跡に指定されている。全国に63件の特別史跡があり、うち3件が京都府にある。
・名勝は、庭園・公園・花樹・橋梁・峡谷・瀑布・洞窟・海浜・山岳・展望地点等の名勝地で、我が国にとって芸術上または鑑賞上価値の高いもの。人工のものと自然のものがある。自然のものも人為的に保護されている。特に重要なものについては特別名勝に指定されている。全国に36件の特別名勝があり、うち14件が京都府にある。
・天然記念物は、動物・植物・地質鉱物・天然保護区域で我が国にとって学術上価値の高いもの。すべて自然のものであるが人為的に保護されている。特に重要なものについては特別天然記念物に指定している。全国に75件の特別天然記念物がある。京都府内には特別天然記念物はない。
文化的景観
・文化的景観は、地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの。全国で65件の重要文化的景観が選定されている。うち「京都岡崎の文化的景観」「宇治の文化的景観」「宮津天橋立の文化的景観」の3件が京都府内に所在している。
・京都岡崎の文化的景観:東山の麓、白川の扇状地に位置し、古代から中世には寺院群、中世から近世には都市近郊農業、近代には琵琶湖疏水の開削に伴い文教施設や園池等が展開するなど、重層的な土地利用変遷を現在に伝えている。具体的な範囲は、琵琶湖疏水・白川沿岸エリア(疏水・白川の水利用により育まれた工業や舟運の施設やその遺構が残る地域 )、南禅寺・別邸群エリア(水利用を軸とした、文化的成熟度の高い別邸群、疏水を利用した園池が立地する地域)、岡崎公園エリア(第4回内国博覧会に由来する祝祭・勧業・文教空間で反復的土地利用が最も特徴的に行われてきた地域 )。
・宇治の文化的景観:宇治川に代表される自然景観を骨格としながら、重層的に発展した市街地とその周辺に点在する茶園によって構成される茶業に関する独特の文化的景観。宇治川・井川の2河川、平等院や宇治上神社など13社寺、宇治と白川の茶畑、宇治橋、宇治公園など13種91件の景観重要構成要素がある。
・宮津天橋立の文化的景観:古代の丹後国府推定地から中・近世の信仰地、近・現代の行楽地へと発展してきた、当地の歴史的重層性を示す土地利用の在り方と、宮津湾西岸及び阿蘇海西岸及び北岸で営まれる農業・漁業による土地利用の在り方とが複合した、独特の文化的景観。
伝統的建造物群保存地区
・全国の市町村が、城下町、宿場町、門前町など伝統的建造物群保存地区を決定し条例に基づき保存活用を進めている。国はその中から重要伝統的建造物群保存地区を選定して、保存事業を支援する枠組み。全国100市町村で120地区が選定されており、京都府では7地区が選ばれている。うち京都市内が4ヵ所、京都市外が3ヵ所。
・京都市上賀茂(社家町):上賀茂神社の東にあり、室町時代より発展した門前集落。上賀茂神社から流れ出る明神川沿いに、神官の屋敷である社家が連続し、社家町を形成している。主屋は敷地に奥まって建ち、切妻造・平家建・妻入の特色ある形態を備える。主屋とこれを囲む土塀、庭園、門、明神川にかかる土橋等が、独特の歴史的風致を構成している。
・京都市産寧坂(門前町):清水寺高台寺八坂神社などの社寺を巡る散策路に沿って、土産物屋・茶店・住宅などが建ち並び、石段や石垣とともに京都らしい繊細な町並をかたちづくっている。街路は直線や曲線が複合し、高低差を石段や緩い坂で繋ぎ合わせるなど、変化に富んだ景観をつくっている。平成8年の地区拡大によって、近代の良好な住宅地も加わっている。
・京都市祇園新橋(茶屋町):祇園地区は茶屋町として形成され、祇園六町のうち新橋通りを中心とした東西約160メートル、南北約100メートルの範囲が保存地区である。建物は切妻造・桟瓦葺・平入、二階建で、元治2年(1865)の大火直後に建てられたもの。一階に格子をつけ、二階は座敷となって正面に縁を張り出して「すだれ」を掛けている。今なお、茶屋町として洗練された景観をみせている。
・京都市嵯峨鳥居本(門前町):嵯峨野は京都市街の西北に当たり、嵯峨野の最も奥に鳥居本がある。保存地区は清滝を経て愛宕神社へ通じる愛宕街道に沿った約600メートルの範囲で、化野念仏寺の参道があり、奥に愛宕神社の一の鳥居が建つ。茅葺で農家風の建物と、つし二階・瓦葺で町家風の建物が混在し、洛外のひなびた歴史的景観を構成する嵯峨野の中でも風致がよく保存されている。二尊院の北方約1km。
・南丹市美山町北(山村集落):美山町は京都府中央部に位置し、日本海へ注ぐ由良川の上流部にある。保存地区は茅葺民家の集中する部分を中心に、由良川北岸の集落及び水田を範囲とする。北側に山並みを背負い、南側に石垣で固めた階段状の屋敷地が連続し、その石垣や主屋等の茅葺屋根が特徴ある村落景観を織りなし、周辺の緑豊かな山林や社寺などとともに歴史的風致を形成している。
・伊根町伊根浦(漁村):伊根町は、京都府北部の丹後半島北東部に位置する。保存地区は、町の南部に位置し三方を山に囲まれた入江をなし、南に開く湾口には青島が浮かび、干満の差が少ない穏やかな伊根湾沿いに江戸時代末期から昭和初期に連続して建てられた舟屋及び主屋、蔵など伝統的建造物を残す漁村。青島と伊根湾及びこれらを囲む魚付林等の周辺環境と一体となって歴史的風致を形成している。
・与謝野町加悦(製織町):東西240m、南北630m、面積12.0haの範囲にあり、街道がクランク状に折れ曲がる城下町特有の地割をよく残している。近世から昭和初期に建てられた主屋や土蔵、縮緬工場などが一体となって丹後縮緬の製織町として特色ある歴史的風致を今日によく伝えている。
         
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(注1)件数はすべて2020年10月1日時点。
(注2)京都府にある国宝(美術工芸品)についてのリストは件数が多すぎて作成しなかった。文化庁のデータベースを参照。
(注3)用語の定義・内容等は、文化庁・自治体等による。
(注4)掲載情報は変更される場合があります。ご利用の際には公式サイトで確認してください。
古都京都の文化財(京都市・宇治市・大津市)を構成する17件の名所旧跡は京都を代表してる